ブスバー(バスバー)とは
製造現場や電力インフラにおいて、大電流を効率よく伝送するために欠かせないのがブスバー(バスバー)です。電線と比較して導体断面積を大きく確保でき、放熱性に優れることから、配電盤や制御盤、EV(電気自動車)のバッテリーモジュールなどで広く採用されています。
本記事では、設計実務に直結するブスバーの選定基準と、安全性を担保するための技術的要件について深く掘り下げます。
1. ブスバーの材質と特性:銅かアルミか
ブスバーの主要な材料には、一般的に導電率の高い「銅(C1100:タフピッチ銅など)」が使用されます。しかし、近年では軽量化やコストダウンを目的として「アルミニウム(A1050、A6063など)」が採用されるケースも増えています。
| 特性 | 銅 (C1100) | アルミニウム (A1050) | 設計上の考慮点 |
| 導電率 | 約100% IACS | 約61% IACS | アルミは銅の約1.6倍の断面積が必要 |
| 比重 | 8.89 | 2.70 | 軽量化が最優先される車載・航空分野ではアルミが有利 |
| 耐食性 | 高い | 表面に強固な酸化皮膜を形成 | 接続部での電蝕(異種金属接触腐食)対策が必須 |
2. 許容電流の選定と温度上昇
ブスバーのサイズ決定において、最も重要なのは許容電流です。電流が流れることで発生するジュール熱により、ブスバー自体が温度上昇します。周囲温度に対し、上昇温度を何度に抑えるか(一般的には $30\text{K}$ から $50\text{K}$ 程度)に基づいて断面積を決定します。
- JIS C 8480(キャビネット形分電盤) などの規格を参照し、設置環境や収納容器内の温度上昇を確認することが重要です。
- 放熱効率: ブスバーはフラットな形状をしているため、円形断面の電線よりも表面積が大きく、放熱効率が良いという利点があります。
3. 絶縁対策とクリアランスの確保
大電流を扱うため、相間の絶縁距離(空間距離・沿面距離)の確保は、感電や火災事故を防ぐための至上命題です。
- 絶縁処理: 狭小スペースで絶縁距離が不足する場合は、ポリオレフィン製の熱収縮チューブや、エポキシ粉体塗装による絶縁コーティングを施します。
- 現場の経験則(Experience): チューブの加熱不足による密着不良は、長期間の運用で湿気が入り込み、トラッキング現象を引き起こす原因となります。末端処理の確実性が、装置全体の信頼性を左右します。
4. まとめ:信頼性の高い盤設計のために
ブスバーの選定は、単なる導体サイズの計算に留まりません。接続部の接触抵抗の低減、振動に対する強度確保、そして長期的なメンテナンス性など、多角的な視点が求められます。最新のJIS B 0001等の図面指示や規格に基づき、正確な設計を行うことが、製品の「権威性」を裏付けることになります。
